科学者とアーティストの交流 『ファンダメンタルズ プログラム』のメインビジュアルを制作しました。
ファンダメンタルズ プログラムは、科学・アート・社会を新たに結びつけ直し、各領域を活性化させること、それが新たな文化を形成することを目指すプログラムです。
メインビジュアルは、ファンダメンタルズのビジュアル公募に応募することがきっかけで担当することとなり、“科学者とアーティストの交流”という目的と、2つの形の点が繋がり面を作るという私の構想、そしてこれまでメインビジュアルを担当した櫻井さんとデザイナーの牧さん、ファンダメンタルズ プログラムの坪井さんとの対話から生まれました。
https://www.fundamentalz.jp/
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線を重ねた有機的な形状(α)は「アーティスト」を、面に囲まれた幾何学的な立体(β)は「科学者」を象徴し、それぞれの形状の点がランダムに繋がり常に新しい面を生成するアニメーションをプログラムによって制作しました。
個々の形状の動きは思考する様子であり、ランダムに生成・消失する面は両者の対話から偶発的に発生する何らかの現象を表現しています。
また、これまでのビジュアルに用いられた幾何学形状を踏襲することにより、前回までの繋がりも示唆しています。
そして、私の個人的なテーマも組み込まれています。
それは“線と面”・“直線とノイズ”・“偶然と必然”などの対比について、両者は区別されるものではなく両者ともその性質を内包しているのではないかという点です。
例えば、αは丸く見えますが実際は短い直線を繋いでいるだけですし、90度回転させると直線に見えます。βは最初直線的に見えますが、有機的にぐにゃっと変形しますし、面は線の集合です。
画角や時間の変化により、面は線に、直線はノイズに見えたり、偶然できた形も必然と思えるタイミングがあます。
会場プロジェクション
ファンダメンタルズ バザール 2023
https://www.fundamentalz.jp/post/20230708-bazaar2023
(ファンダメンタルズ バザールは、科学者とアーティストの1度目の交流の場です)
2023年7月8日(土) 〜 9日(日) @東京大学 駒場キャンパス 駒場小空間
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ファンダメンタルズ フェスは、バザール以来親交を深めてきた科学者とアーティストが交流の途中経過を共有する場です。それに伴い、フェスのメインビジュアルについては、1回目に制作したビジュアルを発展させるという運営の提案のもと、新たな実験として「表現の拡張」と「現実世界に生成してまた戻す」ことを試みました。具体的には、ビジュアルをプロッターと版画で再描画しました。
線と面をプロッターと版画で分け、アーティストを象徴するαはプロッターで描き、科学者を象徴するβは版画で制作し、最終的に両者をPC上で統合しました。αを機械的なプロッターで、βをアナログな版画で制作することになったのは面白い偶然(あるいは必然)かもしれません。
プロッター - 線
版画 - 面
プロッター + 版画による最終的なイメージ
プログラムによって描画した元のイメージ
この試みは、一つのビジュアルを通して変遷する私自身の思考の分岐のひとつであり、正確な答えを導こうとしているつもりでもありません。
私にとっては過程こそが本質であり、この機会に新しい試みができたことを嬉しく思っています。
また、当初、私はファンダメンタルズ フェスで展示をする予定ではありませんでしたが、交流会場の展示に参加させていただくことになりました。
ファンダメンタルズ フェス (2021-2023)
https://www.fundamentalz.jp/post/20231216-fzfestival
2023年12月16日(土) 〜 27日(水)
東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区駒場3-8-1 )
【メイン会場】東京大学駒場博物館 【交流会場】東京大学駒場小空間
主催 : ファンダメンタルズ プログラム
共催:東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部 駒場博物館、科学技術広報研究会 (JACST) 隣接領域と連携した広報業務部会、東京大学 カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】、公益財団法人 小笠原敏晶記念財団
協力:東京造形大学
協賛:特定非営利活動法人ミラツク
デザイン:遠藤 和紀|施工:奥多摩美術研究所
企画・運営:ファンダメンタルズ プログラム(入口可奈子、宇都宮真木、坂口愛沙、長谷川麻子、藤原稔久、山口貴子、代表:坪井あや)